大判例

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大阪地方裁判所 昭和52年(ワ)6548号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

前認定事実によれば、公証人は本件公正証書作成の一週間前に嘱託人勇我光政を確認し、面識ありとして建物賃貸借契約公正証書を作成し、本件公正証書作成時は右光政を承知していたというのであるから、当然面識あるものとするところを、使用する印刷済みの用紙を取り違えた結果、本件記載に至つたものと推認することができる。当事者の確認は、証書作成にあたつて最重要の手続であり、公証人法第二八条によれば、公証人が公正証書を作成するには、嘱託人の氏名を知り且つ面識あることを要するが、嘱託人の氏名を知らず又は面識のないときは、官公署の作成した印鑑証明書の提出其他これに準ずべき確実な方法によりその人違いのないことを証明せしめることを要するものとなっている。この規定自体は問題が残るとしても、右の趣旨に鑑みれば公証人が嘱託人を承知していることが原則であり、その限りにおいては証書作成上は何らの問題も生じないといえよう。本件は例外としての嘱託人を知らない場合の記載をなしながら証明方法としての印鑑証明書を欠いているのであるが、右光政については、公証人は前示のとおり氏名を知り且つ面識があつて人違いでないことが明らかなのであるから、本来証明を要しない場合であり、従つて右のような手続上の不備をもつて、本件公正証書全体を無効とすべきものではないと解するのが相当である。

(工藤雅史)

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